Soft Machine (SM) で4枚のアルバムを創った後脱退した Roebert Wyatt が1971年に結成した Matchig Mole (MM) の1枚目のアルバム。 当時の Melody Maker の記事では、大成功した SM 米国ツアーの最中に Wyatt と他のメンバとの音楽の方向性の差異が顕著になったことが SM 脱退、MM 結成の原因とされているが、これは、SM の2枚目迄は数多かった Wyatt の曲が3枚目では1曲、4枚目では皆無となり、Rutledge と Hopper の曲ばかりになっていることでも裏付けられる。 MM と SM の音楽を所謂 Jazz Rock という便利な言葉でひと括りにするならば、Jazz:Rock 比は、SM では 8:2、MM では 7:3 という感じ、この微妙な差こそが MM と SM を区別するもので、Rock の人 Wyatt には極めて重要な異なりだったのだろう。実際、SMの0枚目のアルバム、SM脱退前に盟友 Kevin Ayersのバンドに参加したこと、さらに、MM 後の活動からも Wyatt の Rock 指向は明白である。 このアルバムはまさにその彼の Jazz をやりたい欲求と、Rock人の血が極めて微妙に化合されている大傑作。特に1曲目の O Caroline は MM の音楽指向性を manifest している意味でも特筆すべき楽曲。 Wyatt の手になるこの繊細な化学反応の産物が、不幸な事故の為、あと1枚のMMのアルバムでしか聴けないのは全く残念であるが、Rock 人としての彼と同時代に生きていられることをむしろ至高の歓びと感じなくてはならないのだろう。 |